![[仮想通貨]ビットコインの未来は明るいか①~通貨って何?~](https://fxslash.com/wp-content/uploads/2020/04/a6b51279389bb33e4503837cd4f5da63.jpg)

ビットコイン半減期まで約一か月となりましたね。
そこで、これから何回かにわたって、ぼくがビットコインについて考えていることを書いていきたいと思います。
そこで、第一弾として今回は通貨とは何かについてお話していきます。
兌換紙幣と不換紙幣

みなさんは、現在どのような仕組みで通貨が発行されているかご存じでしょうか?
簡単に説明すると、現在独自の通貨を持っている先進国はどこも中央銀行が発行するのが一般的です。(日本は硬貨の発行権については政府が持っています)
ただ、ここでその発行したお金をそのままばらまいてしまったら、市中に際限なくお金が流れてしまい、お金の価値が下がってインフレを引き起こしてしまいます。
そこで、政府が国債というものを発行して、その国債を民間銀行を通して中央銀行に買い取らせることで、中銀が買い取った分だけお金が市中に出回るようになってます。
政府や中銀が国債の利回りを調整したり、民間銀行への貸付金利を調整したり、国債の発行枚数を調整したりして、市中に出回るお金の量をコントロールしているわけです。
そして、このように、政府が発行量をコントロールすることによって価値が決まる通貨(紙幣)は、不換紙幣(法定通貨)と呼ばれています。このような通貨は、通貨そのものではなく政府への信用によって価値が生まれるのが特徴です。
また、不換紙幣は、次のように説明される場合もあります。
金貨・銀貨などの本位貨幣と交換できない政府紙幣や銀行券。 ⇔ 兌換(だかん)紙幣
大辞林第3版
ようは、金など有限の資産と紐づけられている兌換紙幣に対して、そのような資産とは結びつけられていない不換紙幣ということです。
ここで、兌換紙幣と不換紙幣のそれぞれを簡単にまとめておきます。
兌換紙幣のメリットとデメリット
- 金などによって価値が裏付けられているので信用を生みやすい(メリット)
- 価値が安定しやすい(メリット)
- 金などを十分に用意できない国では十分に通貨を発行できない可能性がある(デメリット)
- 自由に発行できないため、貿易赤字(国内に入ってくる通貨量より出ていく通貨量のほうが多い状態)に弱い(デメリット)
不換紙幣のメリットとデメリット
- 発行量に制限がないので、緊急の出費にも対応できる(メリット)
- 価値が不安定で、国家の信用がなくなると価値が急速に低下する(デメリット)
- まだ国としての信用があまりない新興国には不向き(デメリット)
- 経済対策を一歩間違えると、価値が急落するリスクがある(デメリット)
現在世界中で使われているのは不換紙幣ですが、一昔前までは世界中で金や銀に紐づいた兌換紙幣が使われていました。
しかし、第二次世界大戦で金がアメリカに集中してしまったことによって、アメリカが唯一金と紐づいた兌換紙幣として世界の基軸通貨になります(ブレトンウッズ体制)。
その後、1960年代に入りアメリカの経済不安で米ドルを金に換える動きが強まります。アメリカの中央銀行であるFRBの金保有量が一気に低下したため、ブレトンウッズ体制は当時のアメリカ大統領ニクソンによって一方的に破棄されることとなりました(ニクソンショック)。
こうして、世界の紙幣は兌換紙幣から不換紙幣へと移り変わっていったのです。
そもそも、埋蔵量に限りがある金に紐づけられている兌換紙幣だと、人口増加による経済の発展に対応できません。そのため発行量に制限のない不換紙幣の台頭は必然であったといえるでしょう。
しかし、だからといって不換紙幣を楽観することはできません。不換紙幣はその性質上深刻なインフレのリスクがあるからです。
不換紙幣が深刻なインフレのリスクがあることを歴史は証明済みです。以下にその実例をいくつか挙げておきます。
- 古代ローマのデナリウス銀貨
- 第一次世界大戦後の不換紙幣発行によるハイパーインフレ(ドイツやオーストリアなど)
- 1868年の太政官札
- アルゼンチン、ジンバブエでのハイパーインフレ
このように、昔から不換紙幣を発行してきた多くの国は最終的に深刻なインフレーションに見舞われています。これはもはや歴史の必然と言えるでしょう。そして、また現在も世界中で不換紙幣が使われているのです。
インフレ通貨とデフレ通貨
通貨は、発行枚数に上限があるかないかによって、2種類に分類することができます。
発行枚数が無制限のものをインフレ通貨、有限のものをデフレ通貨と呼びます。
インフレ通貨とは、その名の通りインフレを引き起こす可能性のある通貨です。なぜなら、発行枚数が決まっておらず無制限に生み出すことができれば、おのずと通貨自体の価値は低下してゆき相対的に物価は上昇(インフレが発生)するからです。前述した不換紙幣がこれにあたります。政府の判断によっては、理論上無制限に発行可能なのが不換紙幣です。
他方デフレ通貨とはデフレを引き起こす可能性がある通貨のことです。発行量が有限であるので、通貨自体の価値は上昇してゆきます。前述の兌換紙幣がこれにあたります。そして、ビットコインも発行量が決められているのでこのデフレ通貨に該当します。
インフレとは物の価値が上昇していくこと、デフレとは物の価値が下落していくことですよね。これを物という側面から通貨という側面に置き換えて考えると、インフレとは通貨の価値が下落していくこと(通貨の供給量が拡大していくこと)、デフレとは通貨の価値が上昇していくこと(通貨の供給量が縮小していくこと)だということができます。
ビットコインの供給量は2100万枚と決められています。さらに、半減期といって、約4年に一度のペースで供給量が半分になっていきます(詳しくは別記事で取り上げます)。これらはブロックチェーンの技術により上書きが実質不可能であり、ビットコインは希少価値性を持つデフレ通貨であることがわかります。
インフレ通貨と通貨発行システム

ここで、通貨発行システムについてもう少し細かく説明します。
先ほど説明したとおり、現状の通貨発行システムだと通貨を市中に流通させるために中央銀行は民間銀行から国債を買い取ります。国債が満期になれば利子付きで現金に戻されるわけですが、ここで一つ問題が生じます。
利子がついているということは、民間の銀行はもらった通貨より多くの通貨を中央銀行に返さなければいけません。そのお金はどこから出てくるのでしょうか。それは新しく中央銀行から供給されたお金を使うしかないですね。
このように、民間銀行が中央銀行にお金を返せるように、中央銀行は民間銀行にお金を供給し続けなければならないのが現在の通貨発行システムの仕組みなのです。お金を発行すればするほど、返さなくてはいけない額も増えるので負の連鎖です。お金の供給量は拡大し続けるので通貨の価値はどんどん下がっていきますね。
こうしてみると、現在の通貨発行システムにおける通貨(法定通貨)がインフレ通貨である理由がよくわかると思います。
まとめ
今回は、現在の通貨とその特性についてお話しました。
次回は、現在の世界の金融政策とその限界についてお話したいと思います。
ではでは。